赤い点 (2008)

 

シノプシス

大学卒業を目前に控えた小野寺亜紀は、自身の過去を探るため、リュックサックを背負って独りドイツに旅立つ。南ドイツの片田舎で、亜紀はとある偶然からバイクを乗り回す18才の少年エリアス・ウェーバーとその父ヨハネスに出会う。彼らの家に客として迎えられた亜紀は、図らずもウェーバー家と彼女の間の隠された過去の絆を探り当てることに

 

プレスより


静かな眼差しと巧みな語り口…宮山麻里枝のデビュー作「赤い点」は、日本的テイストを持つドイツ映画だ。(バラエティ)

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傑出したデビュー作「赤い点」は、ドラマ性を排除することで偉大な芸術に昇華した。(シュピーゲル・オンライン)

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オリバー・ザクスの緻密に構成された映像美と、決して表立つことなく独自の存在感で物語を支えるヘルムート・ジンツの音楽、そしてそれらを効果的に結びつける宮山麻里枝の編集。各パートが互いを支え合い、全体としての素晴らしいハーモニーが生まれた。これこそ、真の意味での「チームワーク」と言えるだろう。(ドイツ映画新人奨励賞受賞理由より)

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圧倒的な存在感を持つ猪俣ユキは、ほんのわずかな表情の変化や体の動きで感情を表現する。研ぎすまされた映像美と静寂が、深い感動を呼び起こす。(パッサウ新聞)

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主演女優猪俣ユキの顔を観客は長く忘れないだろう。(西アルゴイ新聞)

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夢のように心を揺さぶる映画だ。(アート系映画雑誌 Programmkino)






長編劇映画, 35mm, 82分
脚本:宮山麻里枝、クリストフ・トムケヴィッチ

監督・編集:宮山麻里枝
撮影:オリバー・ザクス
音楽:ヘルムート・ジンツ
サウンドデザイン:スヴェン・メヴィセン                            
美術:ガブリエレ・マイ、清水晋治
ラインプロデューサー:クリスティアン・ミュラー、八木欣也

プロデューサー:マーティン・ブランケマイヤー、園木美夜子

出演:猪俣ユキ、ハンス・クレーマー、オルランド・クラウス、

イムケ・ビュッヘル、ツォラ・ティーセン、音無美紀子、

大和田伸也、峰岸徹、斉藤悠、矢柴俊博、フォート菜穂子

製作:ミュンヘナーフィルムヴェルクシュタット e.V.

チェイスフィルムインターナショナル Co.

共同制作:FGV シュミードレ, ミュンヘンテレビ映画大学
助成:バイエルン映画テレビ基金、 ARRI Film & TV Services、

マンフレッド・ドゥルニオク基金
ワールドセールス:ARRI Media Worldsales
配給: Movienet(ドイツ)、K-Films Amérique(ケベック)

アワード:

ドイツ映画新人奨励賞 2008(撮影・音楽・編集)

バイエルン映画賞新人プロデューサー部門 2008

ルードヴィッヒスハーフェンドイツ映画祭観客賞 2009

ウィリアム・ディーテレ映画賞 2009


フェスティバル:

モントリオール世界映画祭2008、ホフ国際映画祭2008、

ビベラッハ映画祭2008、パッサウ国際映画祭2008、ブラウンシュヴァイグ国際映画祭2008、ミュンヘンアジア映画祭2008、カイロ国際映画祭2008、ゴア国際映画祭2008、

チェンナイ国際映画祭2008、アジアンホットショット映画祭(ベルリン)2009、ゲーテボルグ国際映画祭(スウェーデン)2009、 アウグスブルグインディペンデント映画祭2009、

ハンブルグ日本映画祭2009、インスブルック国際映画祭2009、上海国際映画祭2009、ルードヴィッヒスハーフェンドイツ映画祭2009、メキシコドイツ映画祭2009、“Love is Folly“ ヴァルナ映画祭(ブルガリア)2009、ハーヘンブルグドイツ映画祭2009、あいち国際女性映画祭2009、東京ドイツ映画祭2009、

東京国際女性映画祭2009、シンガポールドイツ映画祭2009、

香港ドイツ映画祭2009、サンパウロ国際映画祭2009、チェンナイ・タミルナドゥ映画祭(インド)2009、コーク映画祭(アイルランド)2009、“Lone Star“ フォートウォース映画祭(アメリカ)2009、“Augenblick“ アルザスドイツ映画祭(フランス)2010、ソウル国際女性映画祭2010、新世代映画祭(カナダ、トロント)2010

ストーリー

 記憶の彼方からこぼれ出たある夢の破片が、東京で学生生活を送る小野寺亜紀の頭から離れない。就職活動にも身が入らず、帰省した実家で、彼女は押し入れの奥にある古い小包を見つける。その中には、子供のおもちゃやフィルムが装填されたままの古いカメラが入っていた。黄ばんだ封筒の中には、外国の地名が並んだ地図のコピー。そこに記された赤い点は、幼い亜紀の人生の分岐点だった。


 家族とボーイフレンドの反対を押し切り、亜紀は独り大きなリュックサックを背負って日本を飛び立つ。南ドイツののどかな田園地帯に降り立つと、亜紀は、地図を片手に、赤い点で記された目的地へと向う。道を尋ねるために立ち寄った警察署で、彼女は、オートバイを乗り回し補導された少年エリアス・ウェーバーとその父ヨハネスに出会う。警官に頼まれ、2人は亜紀を目的地まで乗せて行くことになる。

 何の変哲もない森と野原が広がる地に亜紀を降ろし、家路に着くウェーバー父子。 挑発的なエリアスの発言が、家族間の軋みを明白にする。夕食後、姉マティーナと車で街に出たエリアスは、路上で再び亜紀に出会う。宿を探す亜紀に助けを申し出るエリアス。しかし見つけたホテルは満室で、亜紀は結局、ウェーバー家に客として迎えられることになる。


翌日、亜紀はエリアスと共に、地図上の赤い点にあるはずの石碑を探す。そこは、18年前に彼女の肉親が交通事故で亡くなった場所だった。静かな森の中で、片言のドイツ語で言葉を交わしながら、亜紀とエリアスは互いの距離を縮めて行く。

一方、息子と確執の絶えないヨハネスは、帰宅したエリアスと口論の末、彼に平手打ちを食わす。呪いの言葉を吐いて家を飛び出すエリアス。亜紀は、突然目前で巻き起こった嵐を前に、為す術もなく立ち尽くす。


 亜紀の出現により、ウェーバー家の抱える葛藤が沸点に達し、その裏に隠された過去の事実が図らずも明らかになっていく。そして彼女が、事故現場にある石碑を見つけた時、その場所は、ウェーバー家の秘密とも深く関わりながら、それぞれの再生の場へと姿を変えていく。

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